間違いだらけの床下エアコン

《そよ風》のような空気集熱式ソーラーでは、床下を基礎断熱にして、そこに太陽熱で暖められた空気を入れて、さらに、床吹出口から、空気を吹き出すことで換気と暖房を行っています。
空気集熱式ソーラーシステムと、同種のような暖房効果を得られる方法として、最近、よく話題になるのが、床下に、市販の壁掛け式エアコンを設置する手法です。

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多くの工務店・設計事務所が採用され、試みられています。

 

壁掛けエアコンのイメージ

エアコンといえば、長所としてこんなイメージがあります。
1. エアコンはコストがこなれている。
2. ランニングコストが安い
3. ヒートポンプは省エネ性に優れている

一方、こんなデメリットのイメージもあります。
1.直接、暖気・冷気が吹き出すが、直接風が当たるのは、不快に感じる。

 

壁掛けエアコン 不快感の理由

なぜ壁掛けエアコンの暖房は不快に感じるのでしょうか?
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一つには人間は、足元が暖かい状態を好み、頭や顔は冷たい状態を一般的に好むわけですが、壁掛けという構造上、暖気は上から吹き下ろされます。そのときに、顔などに温風が当たることが多く、肌の乾燥や頭部だけが温められることから自律神経を犯されやすくなります。俗にいう頭寒足熱と違う温まりかたになるために、壁掛けエアコンの暖房方式が好まれないのです。

そこで、床下にエアコンを設置し、床全体を温め、輻射熱で室内を温める方式が試みられるようになりました。エアコンのコストパフォーマンスと床暖房の快適性の両立を図るシステムとして、期待されているのです。
 

床下エアコンはメーカーのサポート対象外

床下エアコンはうまく行けば、メリットの多そうな方式です。そのため地域工務店や、設計事務所などで、盛んに試みられているわけですが、本来壁掛けで使うエアコンを床下に設置するということは、メーカーのサポート対象外にあたります。
そのため、各自が自己流で、きちんとエアコン自体の構造を理解しないまま単純に床下に設置してしまうことで、思ったような暖房効果が得られないなどの失敗もよく聞いています。

ソーラーかヒートポンプかという違いはあるにせよ、長年、床下に暖気を送る暖房方式に携わってきた人間として、その方式に興味を持っていたところ、身近にも「うちも床下エアコンやってみたよ」とおっしゃる工務店・設計事務所が出てきました。
何軒か見学させていただいたところで、「ああ、このところで間違っているよ。」とか、「こうしないとうまくいかないのに・・・」と思うことが多々出てくるようになりました。

床下は蓄熱に適した構造のため、できれば、そこに暖房するのは、電気エネルギーよりは太陽エネルギーの方が望ましいとは思っているわけですが、これだけ試みる人が沢山いるシステムでもあり、床下エアコンと、《そよ風》を比較検討されている方も多くなってきていることを考慮し、思い切って、床下エアコンの設置の際のポイントを整理してみることにしました。

 

床下エアコン設置のポイント

・室温センサーを分離できる機種を選ぶ
・エアコンに三菱の霧ヶ峰を採用する
・エアコンの空気吸込口と、吹出口を床の上下で分離する
・床吹出口は、風量調整機能付き・フィルター付きの製品を採用する
・床下全体に暖気を回すため、遠くの居室に床下換気ファン「床やさん」を設置する
・冷房時は、床下エアコンを使わない
 

室温センサーを分離できる機種を選ぶ

最近のエアコンは、人感センサーやムーブアイなど、様々な方法でその感知能力を競っています。
しかしながら、床下エアコンに採用する機種においては、そのような特殊なセンサーを利用するのは、かえって誤作動の原因となるため、できるだけシンプルなものが望ましいといえます。
一般的なエアコンでは、室温センサーは、本体上部の吸込口に付いている機種が多いです。
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この設置例のように、床に単純に穴を開け、エアコンの吹出部を、床下に向ける設置状態での暖房空気を考えてみます。
密閉されていないスカスカの状態で、暖気の一部が跳ね返りやすい構造になっていると、エアコン本体の横からただ上に上昇し、再度吸込口に戻ってしまいます。
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室温センサーが暖気を感知すると、すぐに部屋の温度が上昇したということと誤認識して、暖房運転を停止してしまいます。

そのため、床下エアコンの設置においては、この室温センサーを暖房空気に触れさせない工夫が必要となります。

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さらにダメなのは、床下にエアコン本体をすべて入れてしまうことです。
室温センサーの位置に関わりなく、このような状態では、すぐに床下の温度が上昇し、その温度の空気を吸込口は吸い込むために、同じようにエアコンがストップしてしまいます。きちんと室内側から吸気を行うように配慮しなければなりません。

エアコンに三菱の霧ヶ峰を採用する

室温センサーの誤認識を防ぐための方法の一つとして、室温センサーをエアコン本体ではなく、リビングなどに別途設置される有線リモコンで感知できる機種を採用することがあります。
例えば、三菱の霧ヶ峰はその別売の有線リモコンを装着することで、エアコン本体ではなく、リモコン側の室温センサーを使用することが可能です。
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また、霧ヶ峰の場合には、この有線リモコンを使える機種は、業務用だけでなく、一般家庭用のものまで幅広く対応しています。リモコン側の室温センサーを使用することで、正確な室温を検知して適切に運転できるのでお勧めです。
霧ヶ峰のシステムコントロールについては、この商品技術ガイドブックに記載されています。詳しくは環境創機宛にご相談ください。
 

エアコンの空気吸込口と、吹出口を床の上下で分離する。

もう一つの方法としては、本体上部の吸い込み口と床下への吹き出し口を分離・密閉して、吹き出した暖気をエアコン周辺の室内側に漏気させないことです。
先ほどの、センサーの温度の感知という問題もありますが、周囲を密閉するもう一つ大事な理由として、部屋の隅々まで、温熱空気を送るということがあります。
 
エアコン周囲に隙間が開いているということは、圧がかからずに、遠くまで空気を送ることができないということになります。
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穴の空いた風船をイメージしてもらえばわかりやすいと思いますが、きちんと、床下全体にエアコンの暖気を行き渡らせるためには、空気を届けたい場所以外の箇所から漏気させない工夫が必要です。

正しい設置例

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(床下エアコンとして機能しやすい設置方法として紹介していますが、決して各メーカーが発行している取扱説明書と異なった設置方法を推奨しているものではありませんので、ご注意ください)
このように、エアコンを上下で区切り、その周囲は断熱材で囲み、暖気が上下を行き来しないようにすることで、床下空間の隅々まで暖気を送ることが可能になります。

床吹出口は、風量調整機能付き・フィルター付きの製品を採用する

エアコンの暖気を室内に吹き出すには、床吹出口(床ガラリ)を使用します。

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各メーカーから様々な種類のものが販売されていますが、お勧めしたいのはシャッター付の製品を選択することです。
シャッター付き、つまり、吹き出し量の調節機能のついたものを選定するべきということですが、何故、吹き出し量の調整が必要なのかというと、床下エアコンの距離や、床下の基礎の形状、各居室の使用頻度、ダイレクトゲインの割合などによって、施工した後になって「この場所にもう少し暖気を持っていきたい」「この場所は暖かいのであまり暖気は必要無い」と感じたりすることが多いのです。
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これは、事前の配置計画ではなかなかつかみきれず、実際に住んでみてから調整できるようにした方が無難です。
微妙な調整をしたいと思ったときに、流量調整機能のあるシャッター付床吹出口を選択しておけば、調整によって、必要な場所に暖気を運びやすくすることができます。
環境創機のシャッター付床吹出口であれば、全て、シャッターによる風量調整機能がついていますので、お勧めします。
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また、環境創機のシャッター付床吹出口は、ゴミ落下防止のフィルターもオプションでつけることができます。
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ダイニングやキッチンでは、パンくずやご飯粒を始めとした食べ物くずの食べこぼしなどが、床吹き出し口を通じて落下してしまうことがあり、どうしても不衛生になりがちです。
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その他、家庭内の小さなものであれば、何でも落下して床下に落ちてしまいます。
フィルターは、そうしたゴミや小物が床下に落ちるのを防ぎ、衛生状態を保ってくれます。
 

遠くの居室に、床下換気ファン「床やさん」or「床やさんスリム」を設置する

もし、うまく密閉し、床吹出口を配置できたとしても、エアコンの暖房は、下方向に強く吹き出す構造になっています。
そのため、暖房は、真下に風が行くことが多く、どうしても、横に広がりにくい傾向にあります。

遠くの居室に暖房空気を回すには、ファンを使って、強制的に空気を引っ張ることも方法の一つです。
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環境創機の新製品の床下換気ファン「床やさん」は、床下から床上に風を送りだします。
床下エアコンから離れた居室に、暖気を呼び込むことができます。
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(2017/2/18追記)床吹き出し口の下に設置可能な、「床やさんスリム」も新たに発売しています。
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こちらも「床やさん」と同様な効果を得ることができます。

 

冷房時には床下エアコンを使用しない

冷房については同じ方式で運転しない方が無難です。結露やカビを誘発しやすいのもありますが、そもそも冷気が滞留して足元ばかりが冷えてしまい、頭のある上部は暖気が滞留しがちなため、不快な状況を生みやすくなります。
冷房については、別途冷房用の壁掛けエアコンを設置して利用するようにしてください。
 
 

まとめ

以上、簡単に床下エアコンの設置のポイントを説明しましたが、いかがでしたでしょうか?
新しく、床下換気ファン「床やさん」「床やさんスリム」が登場したことで、これまでの床下エアコンの大きな欠点であったショートサーキットの問題を解消しやすくなりました。また、割愛させていただきましたが、霧ヶ峰と、床下エアコンと「床やさん」の連動なども可能です。
また、本ページの続編として、床下エアコンを効率良く働かせる方法も掲載されています。こちらも合わせてご覧ください。
どうぞお気軽にご相談ください。よろしくお願いします。

 

2017/2/7追記

もっと深くディスカッションしたり、ホームページでは上では公開できない情報をお伝えする場としてフェイスブック上で、「床下エアコン研究会」のページを立ち上げました。
工務店・設計事務所の方であれば参加できますので、参加希望の方はリクエストを申請してください。

 

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