第9話 夏はどうする

それまでの暖房の仕組みは、床下にファンコンベクターを入れたり、ストーブの煙突周囲から吹き降ろしたり、まったく別の暖房を使ったりしたものだった。
ハンドリング暖房が可能になったことで空気集熱式ソーラーの基本的な仕組みの不都合さがほぼ解消されたと言えるだろう。
どんな工務店の設計施工でも暖房効果が得やすくなったので、デュアルコイルの役割が大きかったと思う。
だからこの時点でハンドリングボックスの働きとしては、ほぼ完成の域に達したと思った。
しかし、デュアルだと暖房とお湯採りがバッティングすることも考えられ、貯湯も制御、暖房も制御する必要が生じた。
ハンドリング暖房でいい線までいったころ、我々は何をしているのかということを考え直しはじめた。
パッシブソーラーっていうものは何だろう。ほんとうに冬場のソーラーを十分に活かしきれているのか?夏はどうだろう?などと考えていたら、とりわけ夏の制御を抜本的に考えようということになった。
ソーラーシステムの夏対策として、昼間は排気させ、夕方からは屋根を冷やすことを検討し、それが涼風取入の原点となった。
暑くしてしまう要因に誘引(床下換気)があった。
床下の空気を動かすのであれば、涼風取入がパッシブシステムにかなうということで、これに対応する制御盤の開発をはじめた。
こうしてできたのが、TC-1である。この制御盤の完成により、夏もそこそこに強いソーラーシステムに一歩近づいたと思った。(1994年)


T型制御盤 TC-1