第11話 花形のダンパーモーターとファン

開発でたいへんだったことのひとつに、ダンパーモーターがある。 制御用モーターで有名なスイスのベリモ社の製品を使用している。 雷などでダンパーモーターが故障した場合でもダンパーが自重で動かないようにしたい。 ベリモ社に尋ねるとそうしたタイプのものがあるというので送ってもらったが、重くて大きくて値段が高いので、何度か交渉して小型化を図り、ロック機能のついたLMC100型ができた。ここまでに4年を要した。

新型 旧型 旧型カバー

ベリモ社製のダンパーモーター

同じような試行錯誤は、空気集熱式ソーラー仕様のファンモーター(斜流ファン)を作り出すときにもあった。初期のハンドリングは三菱のプロペラファンだった。 ラーメン屋で使われているもので、当時の製品の中では耐熱温度が一番高かった。 空気集熱式ソーラーシステムの場合は耐熱温度が重要なので、もっと改善したかった。 市販のものには希望する大きさや形状のものはなく、メーカーに空気集熱式ソーラー仕様のファンモーターをつくってもらおうとしたが、どこも乗ってくれなかった。寿命の尽きたファンモーターの交換時期が来る前に空気集熱式ソーラー仕様のファンモーターを開発しようと考え続け、知人の協力を得てメーカーの有力代理店に依頼してできたのが斜流ファンである。 プロペラファン(3枚羽根)は1回転するたびに振動が大きいけれど、斜流ファンのほうは円形のため振動が少ない。 カーボン繊維を入れた黒色とし耐熱性を上げた。80℃で連続2万時間もたせる。また大きさも厚みもプロペラファンと同じにし、ファンユニット化を図った。なぜここまでこだわったかというと、互換をもたせる必要があったからである。 これによって従来のものを取り替えることが可能となった。ダンパーモーターおよびファンモーターの改善に伴い、ハンドリングボックスは進化した。そしてできたのが「T型ハンドリングボックス」である。このT型は新たに冷気取り入れモードを加えた「T型制御盤」との組み合わせで、夏季夜間の涼風取り入れの効果を十分に発揮できる機能を備えた。 また、これまでは現場でハンドリングボックスを組み立てた後、断熱材でそれをくるむことをしていたが、ペフ内貼として、現場の組立手間を軽減させる工夫を施した。さらにキューブモデルとして、現場でのダクト工事の簡便化を図り、縦置きも可能にした。(1998年)

初期プロペラファンのT型ハンドリングボックス  *最新型はシロッコファン